
二ヵ所の実習先の先生に大変よくして頂きましたが、養護施設の先生は、普通の先生と全く変わらず同じように接して頂きました。園児の縫物、洗濯、掃除、何でもさせてくれました。
帯広のグリュニック王国へ、園児と一緒に引率者として連れて行き、実習最後の日はお別れ会を開き、娘はこの最後の実習を終えて、より一層福祉に情熱を燃やしていました。
依然として、学校からは誤解を受け、娘にそのつど話がありましたが、「とにかく頑張って資格を取りなさい」と娘にいい聞かせました。
娘も歯をくいしばって頑張り、社会福祉科で取得できる全ての資格を取り卒業しました。
でも新たな現実が娘には待っていました。五、六ヵ所の就職試験を受けましたが、どこも駄目でした。短大の先生に聞きましたら、「耳も悪いし、あの保育園でのことがあるからね」といわれました。
なぜ冷静に見て下さらないのでしょうか。ろう学校で世話になった先生が短大に行って話しもしてくれました。その先生は娘の相談相手になって下さり、娘はどんなに頼りにしていたかわかりません。
娘はワープロに興味を持ち、札幌の吉田学園に入学、経理の勉強を始めました。学園では、耳が悪いからという差別などなく、「わからないところは聞きなさい」と親切で、先生は娘に対しても、勉強するときは厳しく遊ぶときは他の生徒と変わりなく接して下さいました。娘はこの学園ではとても楽しく充実した生活を過ごし、あっという間の一年で、経理に関する資格を取りました。
前ページ 目次へ 次ページ
|

|